介護保険制度とは?高齢の親に起こる3つのリスクに備えよう

母親を介護する娘

離れて暮らす親。

高齢になるにつれて起こりうるリスクが3つあります。

  1. 病気が原因で転倒する
  2. 介護が必要になる
  3. 認知症が進行する

病気が原因で突然家の中で倒れたり介護が必要な状況になってしまうリスクがあります。もしそうなったらあなたはどう対処しますか?

今や75歳以上の方は約3人に1人が要介護認定(要支援含む)されています。この介護認定を行う介護保険制度やしくみ、サービス内容や費用などを理解しておくといざそういう状況になった時、慌てずに対処することができます。

私も親が高齢になっていく段階で介護保険制度のことを学んでおけば良かったとつくづく後悔したものです。

そこで、介護保険制度について押さえておくべき3つのポイントと具体的なサービスの利用方法をステップでお伝えします。

  • 介護保険制度の概要
  • 介護サービス費用と負担割合
  • 介護サービスの利用方法

これらを理解しておくことで、いざ何かあったとしても心の備えになるかと思います。

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介護保険制度の概要

家族が乗った車椅子を押す高齢者

介護保険制度とは

介護保険制度は、要介護認定を受けた人が介護保険指定の介護サービスを受けることができる制度です。

介護サービスを受ける場合、利用限度額内で1~3割の自己負担があります。

介護保険給付対象者と要介護状態

介護保険は、65歳以上であれば原因を問わず介護サービスを受けることができます。

40~64歳の方は、以下の特定疾病が原因である場合に介護サービスを受けることができます。

  • がん(がん末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護サービスの内容

介護サービスを受ける時、その内容によって自宅(在宅)で受けるのか介護施設を利用して受けるのかを選ぶことができます。

自宅で受ける介護サービス

訪問介護(生活援助型)

ホームヘルパーに自宅を訪問してもらい、洗濯、掃除、調理など生活援助を受けるサービスです。

訪問介護(身体介護型)

ホームヘルパーに自宅を訪問してもらい、入浴や食事、着替え、排泄などの介助を受けるサービスです。

訪問看護

医師の指示に基づいて看護師や保健師に自宅を訪問してもらい、診療の補助などを受けるサービスです。

施設を利用して受ける介護サービス

デイサービス(通所介護)

デイサービスを行う事業所等に通い、入浴や健康チェック、レクリエーション等を通じて日常生活訓練などを受けるサービスです。

自宅近郊で送迎付きのデイサービスを利用されている方が多いです。

デイケア(通所リハビリテーション)

老健(介護老人保健施設)、病院、診療所等に通い、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)などからリハビリテーションを通して身体機能の維持や回復、認知機能の改善などを受けるサービスです。

③ショートステイ(福祉施設)

特養(特別養護老人ホーム)などに短期入所し、介護、看護、機能訓練などを受けるサービスです。

④ショートステイ(医療機関)

病院や老健(介護老人保健施設)、診療所の療養病床に短期入所して医学的管理に基づいて日常生活の介護、看護、機能訓練などを受けるサービスです。

環境を整備する介護サービス

①福祉用品レンタル

介護ベッド、車椅子、手すり、歩行器など自立支援のための用具がレンタルできるサービスです。

②レンタル可能な福祉用具
  • 車椅子(※)
  • 車椅子付属品(※)
  • 床ずれ防止用具(※)
  • 介護ベッド(※)
  • 介護ベッド付属品(※)
  • 手すり
  • 認知症徘徊感知機器(※)
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 体位変換器
  • スロープ
  • 移動用リフト(※)

(※)印は原則として要介護2以上の方が保険給付の対象となります

介護サービス費用と負担割合

高齢者を車椅子で介護するヘルパー

介護サービスを受ける際には、利用者はサービス費の一部を負担して利用します。

自己負担割合は、所得金額によって1~3割と異なります。

自己負担割合

1割負担となる基準

2000年に介護保険制度が始まってから自己負担割合は原則1割とされています。

2割負担となる基準

65歳以上の方で、合計所得金額(収入から公的年金等控除等の経費を差し引いた後、扶養控除や医療費控除等の所得控除をする前の金額)が160万円以上、かつ同一世帯内の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額(合計所得金額から、年金の雑所得を除いた所得金額)」の合計が単身で280万円以上340万円未満、2人以上の世帯で346万円以上463万円未満の場合。

64歳以下の方、生活保護を受けている方、市町村民税非課税の方については1割負担のままです。65歳に到達した時点で2~3割負担に該当するか確認をし、該当すると翌月から2~3割負担となります。

3割負担となる基準    

65歳以上の方で合計所得金額が220万円以上、かつ同一世帯内の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が単身で340万円以上、2人以上の世帯で463万円以上の場合。

介護サービス利用支給限度基準額

要介護度に応じて、介護サービス利用者の支給限度基準額が1ヵ月ごとの単位で設定されています。

地域区分

介護報酬は、法律上事業所が所在する地域等も考慮したサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定することとされています。(介護保険法第41条第4項等)

簡単に言うと、利用する介護サービスや地域によって介護サービス費用が異なります。

介護報酬の基本的な算定方法

サービスごとに算定した単位数 × 1単位の単価 = 事業者に支払われるサービス費

1単位の単価

※1級地は東京都特別区、札幌市は7級地の額が適用されます

※詳細は「厚生労働省ホームページ:地域区分について」をご参照下さい

①訪問介護/訪問入浴介護/訪問看護/居宅介護支援/定期巡回・随時対応型訪問介護看護/夜間対応型訪問介護

②訪問リハビリテーション/通所リハビリテーション/認知症対応型通所介護/小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護/短期入所生活介護

③通所介護/短期入所療養介護/特定施設入居者生活介護/認知症対応型共同生活介護/介護老人福祉施設/介護老人保健施設/介護療養型医療施設・介護医療院/地域密着型特定施設入居者生活介護 /地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護/地域密着型通所介護

高額サービス費

介護サービスを利用した際に利用者負担額(1~3割)が一定の上限を超えた時、高額サービス費が給付(払戻)されます。

※この場合の利用者負担額には食費・居住(滞在)費・日常生活費・その他保険給付外のサービスに係る費用(自費で受けるサービス費)・福祉用具購入や住宅改修に係る負担分は含まれません

同一世帯に介護保険サービス利用者が複数いる場合は、世帯全員の利用者負担額を合算することができます。

介護サービスの利用方法

介護サービスを利用するためには、市区町村担当窓口に申請して「要介護認定」を受ける必要があります。

介護サービスを利用するまでの手続と流れ

要介護認定の申請

介護保険窓口(札幌市は居住区の区役所保健福祉課)で「要介護認定」の申請をします。

申請は、本人や家族のほか介護支援専門員(ケアマネジャー)も代行できます。

要介護認定

①訪問調査・1次判定

本人や家族への聞き取り調査を行い、調査結果に基づいて1次判定を行います。

②介護認定審査会による2次判定

コンピュータによる判定結果と医師の意見書をもとに保健、医療、福祉の専門家が2次判定を行います。

③認定

要介護度が決められます。

④認定結果の通知

原則として申請から30日以内に認定結果が通知されます。(状況によって1ヵ月以上かかる場合もあります)

介護サービスを利用する

ケアプランの作成

介護サービスを利用する利用者や家族の希望に沿って、ケアマネージャーがどんなサービスをどのくらい利用するかというケアプランや予防プランを作成します。

要支援1、要支援2の認定を受けた場合は、地域包括支援センターのケアマネージャーがケアプランを作成します。

ケアプランは、全額公的介護保険の負担(自己負担なし)で作成されます。

介護サービスを利用する

ケアプランや介護予防プランに基づいてサービスを利用します。

要介護認定の有効期間

要介護認定の有効期間は原則6ヵ月~12ヵ月です。

初回認定の有効期間は原則6ヵ月、更新認定の有効期間は原則12ヵ月です。(市町村が認める場合3~36ヵ月の間で設定)

ケアマネージャーの役割

介護支援専門員(ケアマネージャー)は、介護の知識を広く持つ専門家で、介護を必要とする本人や家族の相談に応じてアドバイスしてくれる大変重要な存在です。

地域包括支援センター、介護保険施設、居宅介護支援事業所等に属し、各サービス事業者への連絡調整を行います。

まとめ

高齢者はいつ何か起こってもおかしくありません。

高齢の親に起こるリスクと介護保険制度、具体的なサービスの利用方法を押さえておき、親の介護で悩むことの無いよう元気なうちに備えておくことが必要です。

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