現役を引退し年金暮らしの自分の親が何の医療保険に加入しているのかご存知でしょうか?
もし75歳の誕生日を迎えられていたとしたら、その誕生日当日から後期高齢者医療保険に加入されています。
75歳になるとそれまで加入していた医療保険(国保・健康保険・共済など)から自動的に後期高齢者医療保険の被保険者となります。
後期高齢者医療制度は平成20年4月(2008年4月)に始まった制度で、都道府県単位の広域連合が運営主体となっている医療保険です。
では、後期高齢者医療制度とはどのような内容なのか以下を中心に具体的に解説していきます。
- 後期高齢者とは
- 後期高齢者医療制度とは
- 後期高齢者医療保険のしくみ
後期高齢者とは
高齢者は65歳以上、75歳以上の高齢者を後期高齢者と呼びます。
令和3年版高齢社会白書(内閣府)によると、日本の総人口は2020年10月1日現在で1億2,571万人。
そのうち前期高齢者(65歳~74歳)人口は1,747万人(13.9%)、後期高齢者(75歳以上)人口は1,872万人(14.9%)、65歳以上人口は3,619万人で総人口に占める割合は28.8%となっています。
この4人に1人以上が高齢者となっている高齢化率は今後も高まり続け、2065年には約2.6人に1人が65歳以上(高齢者)、約3.9人に1人が75歳以上(後期高齢者)になると予測されています。
後期高齢者医療制度とは
75歳になられた方は、それまで加入していた医療保険の種別に関わらず、75歳の誕生日当日に後期高齢者医療保険の被保険者となります。(一定の障害がある方は65歳以上)
都道府県ごとに設立された後期高齢者医療広域連合が制度の運営を行い、市町村が窓口業務を行っています。
75歳になっても特に手続きすることはありません。誕生日の前月に発送される「後期高齢者医療被保険者証」を受け取り、75歳以降はその保険証を医療機関に提示して受診します。
この制度は社会全体で支える仕組みとなっており、医療費のうち医療機関等の窓口で支払う自己負担分以外の費用は税金(国・都道府県・市町村)で約5割、現役世代からの支援金で約4割、後期高齢者医療制度の被保険者が約1割を保険料として負担しています。
「国民健康保険制度」は、会社の保険に加入している方(その方に扶養されている方を含む)や生活保護を受けている方を除いて74歳以下のすべての方が加入する医療制度です。(市町村が運営)
それに対して「後期高齢者医療制度」は、年齢が75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)のすべての方が加入する医療制度です。
75歳になって後期高齢者医療制度に移行する方は、それまで加入していた医療保険から脱退して後期高齢者医療制度の加入者となりますが、自動的に移行されるため手続きは不要です。
後期高齢者医療保険のしくみ
自己負担割合
医療機関等での窓口での支払は医療費等の1割または3割です。
自己負担割合は毎年8月1日に判定されます。
同じ世帯被保険者全員の住民税課税所得額(1~12月の所得から算出)が145万円未満の場合は1割負担、同じ世帯被保険者の中に145万円以上の方がいる場合は3割負担となります。
高額療養費
入院などで月の1日から末日まで1ヵ月毎の自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分の医療費(高額療養費)は広域連合が負担します。
高額療養費が支給される場には広域連合から申請書が送付されてくるので、市区町村の担当窓口に提出しましょう。
高額介護合算療養費
同じ世帯の被保険者が1年間(8月1日~翌年7月31日)に支払った後期高齢者医療制度と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えた時は、その超えた額が後期高齢者医療制度及び介護保険から支給されます。(市町村担当窓口に申請が必要です)
まとめ
75歳になった誕生日当日に加入する後期高齢者医療制度についてを解説しました。
自分の親が後期高齢者であった場合、医療機関に提示するのは「後期高齢者医療被保険証」となります。
病院に付き添った場合など、役立つように覚えておくとよいでしょう。
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