特養?老健?自宅以外で介護を受けられる介護施設とは?

介護施設への入居を考えている高齢者

自宅での日常生活が難しくなってきた時、介護施設への入居を検討される高齢者が多くいらっしゃいます。

しかしながら、介護施設といっても色々種類が異なり、身体状況や費用面で本人に適した介護施設がどこなのか判らないといった相談も数多く寄せられています。

介護施設には、公的介護保険指定の施設と公的介護保険指定以外の施設があります。

公的介護保険制度を利用できるものに「施設サービス」があります。

「施設サービス」は「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」、「介護医療院」の4種類があり、介護が中心か、治療が中心か、どの程度医療上のケアが必要かなどによって利用する施設を選びます。

では、4種類の「施設サービス」について具体的に詳しく解説していきます。

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特別養護老人ホーム(特養)

特養に入居している高齢者

特別養護老人ホームとは

老人福祉法に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が30人以上であるものに限る)で、入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいいます。

入所要件

原則として65歳以上で要介護3~5の方

※要介護1~2の方は、認知症や障がいがある等特例的な入所が認められる場合のみ利用可能

サービス内容

  • 食事
  • 入浴(清拭含む)
  • 排せつ
  • 健康管理(医師または看護師)
  • 緊急対応(オンコール体制等)
  • リハビリテーション
  • 生活支援(掃除、洗濯等)
  • レクリエーション、イベント
  • 看取り(本人が望む最期に向けたターミナルケア、家族の同意に基づく看取り)

特別養護老人ホームの特徴

介護保険法において「介護老人福祉施設」とされ、公的な介護保険施設の1つで民間の有料老人ホームよりも費用が安く、終の棲家となりえます。

「従来型」と「ユニット型」の2タイプがあり、「従来型」の多くは4名1室(多床室)の居室。「ユニット型」は個室に1ベッドの居室があり、10人以下で居間やキッチン、リビング等で共同生活をしながらユニットケアを受けるもので、近年は、この「ユニット型」が増えてきています。

入居待機者が非常に多かったことから、2015年に入居要件が要介護1以上から要介護3以上に改正され、以前よりは待機者の減少に繋がってきています。

札幌市内では400名を超える待機者の特養もありますが、平均すると150名くらいが現状の待機者数となっています。

特養では介護は24時間受けることができますが、看護師の24時間配置が義務付けられていないため、施設によっては医療依存度の高い方は入居できない場合があります。

費用

有料老人ホームのような入居一時金はなく、月々の費用は施設サービス費、居住費、食費、日常生活費で構成されています。

「従来型」(多床室)と「ユニット型」など住環境の違いによって自己負担額が変わります。

※参照:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安」

札幌市内の特別養護老人ホーム

2022年3月15日現在、札幌市内には92の特別養護老人ホームがあります。

※詳しくは、札幌市のホームページをご確認ください

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設とは

要介護者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る)に対し、施設サービス計画に基づいて看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設をいいます。

一般的に病院と自宅の中間施設と位置付けられており、運営主体は医療法人がほとんどです。

入院していた人が退院後すぐに自宅で自立した生活を送ることが困難な場合に入所する施設です。

入所要件

原則として65歳以上で要介護1~5の方

介護老人保健施設の特徴

在宅復帰を目指している方の入所を受け入れ、入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるようリハビリテーションや必要な医療、介護などを提供します。

特養と異なる点は、常勤の医師がいることと多くの老健は夜間帯も看護師が勤務していることです。またリハビリ専門職も常駐しています。

在宅復帰に特化した施設であることから、入所期間は原則3~6ヵ月となっています。

部屋は多床室(4人部屋)が多く、入浴や排せつなど身体介護以外の生活支援サービスはあまり充実していませんが、機能訓練や医療ケアを手厚く受けることができます。(1回当たり20~30分のリハビリテーションを週2回以上)

費用

一時金はありません。施設サービス費の他、居住費、食費、日常生活費がかかり、特養と比較すると若干高い費用となります。(9~20万円程度)

札幌市内の介護老人保健施設

2022年9月1日現在、札幌市内には49の介護老人保健施設があります。

※詳しくは、札幌市のホームページをご確認ください

杖をついて歩行リハビリを行う高齢者

介護療養型医療施設とは

急性期の治療が終わり、長期の療養を必要とする高齢者等のための医療機関の病床です。

特養や老健と比較すると、1人当たりの専用スペースは最も狭くなっています。

医療法の認可による「病院」で、過去に老人病院と呼ばれていましたが2003年に廃止され、一般病院と療養型病床群に分けられました。

医療法人等の非営利法人や公共団体によって運営されており、民間会社などの営利法人は運営が認められていません。

介護療養型医療施設は、2023年度末で廃止が予定されています。

札幌市内の介護療養型医療施設

2021年7月1日時点で、札幌市内には3施設の介護療養型医療施設が運営されています。

※詳しくは、札幌市のホームページをご確認ください

介護医療院

介護医療院とは

介護医療院は、要介護高齢者の長期療養・生活支援のための施設で、2018年度から始まった施設サービスです。

主に重い身体疾患のある人や身体合併症のある認知症高齢者など、従来の介護療養病床や介護老人保健施設の利用者を対象とし、医療の必要度によって2類型に分けられています。

施設の設備や運営上の基準について、介護療養病床と介護老人保健施設の基準をそれぞれ引き継ぐ形となっています。

居住スペースと医療機関を併設した医療外付け型等も認められており、医療と介護の一体的なサービスを受けられる施設です。

札幌市内の介護医療院

2021年11月1日時点で、札幌市内には9施設の介護医療院が運営されています。

※詳しくは、札幌市のホームページをご確認ください

まとめ

自宅以外で介護を受ける際、公的介護保険指定の施設として「特別養護老人ホーム」、「介護老人保健施設」、「介護療養型医療施設」、「介護医療院」の4種類の施設サービスについて解説しました。

公的介護保険指定以外の施設は、多くの一時金が必要となる場合もあります。

種類、金額などに違いがありますので、十分に検討を行うことが必要です。

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