毎日毎日振り込め詐欺の報道を目にする日々が続いていますが、離れて暮らす親が高齢に伴って認知症となり、親の金銭管理能力に不安を抱くようなことはありませんか?
実は認知症や知的障がい、精神障がいの方を対象に金銭管理などを行う福祉サービスで、社会福祉協議会が行う「日常生活自立支援事業」というものがあります。
では日常生活自立支援事業とはどのような内容で、どのようなサービスを受けることができるのかなど以下のステップで詳しく解説していきます。
- 日常生活自立支援事業とは
- 利用対象者
- サービス内容
- 専門員と生活支援員の役割
- 利用までの流れ
日常生活自立支援事業とは
認知症や知的障がい、精神障がいにより一人では日常生活に不安のある方が地域で安心して生活が送れるよう社会福祉協議会が本人との契約に基づき、福祉サービスの利用援助を中心に日常的な金銭管理や重要書類等の預かり・保管などの支援を通して高齢者や障がいのある方等の権利擁護を図ることを目的とした事業です。
2000年に介護保険制度が導入され、措置制度から契約制度へ福祉サービスが大きく変化した中で事業創設されました。
日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人を対象にしつつも、あくまでも利用者本人が福祉サービスの利用等について決めることができるように、意思決定や各種の手続きを支援する事業となっています。
利用対象者
次のいずれにも該当する方。
- 認知症や知的障がい、精神障がいのある方で、判断能力が不十分であるため、日常生活を送るうえで支障がある方
- 安定した在宅生活が可能な方
- 本事業の契約内容を理解する能力を有している方(契約内容を理解できない場合は、成年後見制度を検討いただく)
サービス内容
日常的な生活支援サービス
- 福祉サービスの利用に関する情報の提供・相談、郵便物の管理、行政手続き
金銭管理サービス
- 福祉サービスや医療費の利用料金、税金や保険料、公共料金、家賃の支払手続き
- 年金や福祉手当の受領に必要な手続き
- 日常生活費の管理のお手伝いやそれに伴う預金の預入、払戻手続き
財産保全サービス
- 年金証書、預貯金通帳、権利証、実印などの書類預かり
利用料金
- 1時間につき1,200円と生活支援員の交通費(生活保護受給者は無料)
- 財産保全サービスは年間3,000円(生活保護受給者も有料)
専門員と生活支援員の役割
専門員
- 利用相談、支援計画の策定、モニタリング
- 生活支援員を含めた関係機関との連携等を行う
生活支援員
- 専門員が作成した「支援計画書」に基づいた定期的な訪問(週1回~月1回)
- 利用者の意思を確認した上で預貯金の出し入れ等を行う
- 支援後に支援の内容や利用者の様子、利用者から受けた相談等について専門員へ報告、記録を作成
利用までの流れ
居住区の社会福祉協議会に相談
専門員が訪問
- 事業の説明
- 利用意思の確認
- ガイドライン面接調査
権利擁護審査会
- 利用の可否について審査
契約
- 援助する内容を定めた支援計画書を作成
契約に基づいた利用開始
まとめ
日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会が高齢や障がいのために日常生活の判断に不安のある方が地域で安心して暮らせるようお手伝いをする事業です。
利用料金も安価であることから、もしも迷うようなことがあれば一度最寄りの社会福祉協議会に相談されてみてはいかがでしょうか。
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