高齢になるにつれ、自分の介護で子供には負担をかけたくないと思っている親は多いのではないでしょうか。
実は主な介護者(介護する人)で最も多いのが「配偶者」です。
しかしながら「子」や「子の配偶者」が介護する割合は31.5%(3人に1人)となっており、実際には子供世帯の負担につながっているのが現実です。
そのような家族負担を少しでも軽減するため、自宅に居ながら利用できる介護保険サービスが訪問サービスです。
では、この訪問サービスはどのような内容のサービスで、利用する本人にとって何をどう選択し、ケアプランに組み込んでもらえば良いのか、以下のポイントに添ってお伝えします。
- 訪問サービスの種類
- その他の在宅サービス
- 住宅改修費・福祉用具購入費の支給
訪問サービスの種類
訪問サービスには、5つのサービスがあります。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
訪問介護(ホームヘルプサービス)は、ホームヘルパーが居宅を訪問し食事・入浴・排せつなどの身体介護や、調理・洗濯・掃除など生活援助を行うサービスです。
身体介護が中心である場合
利用者の身体に直接接触して行う介助で、起居・食事・入浴・排せつ・着脱・整容・移動などの介助を行います。
生活援助が中心である場合
単身の世帯に属する利用者または家族等と同居している利用者に対し、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者または当該家族等が家事を行うことが困難であるものに対して、調理・洗濯・掃除・買物等の家事の援助で、これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる居宅要介護者に対して行われるものです。
通院等のための乗車または降車の介助が中心である場合
通院等のための乗車または降車の介助は、「要介護者である利用者に対して通院等のため、指定訪問介護事業所の訪問介護員等が自らの運転する車両への乗車または降車の介助を行うとともに、併せて乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助または通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助を行う場合」をいいます。
訪問入浴介護
入浴設備や簡易浴槽を積んだ移動入浴車などで訪問し、入浴の介助を行います。
訪問リハビリテーション
理学療法士(PTさん)、作業療法士(OTさん)、言語聴覚士(STさん)が居宅を訪問して日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行います。
居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師などが居宅を訪問し、医学的な管理指導を行います。
訪問看護
訪問看護ステーションや医療機関の看護師などが居宅を訪問し、主治医と連絡を取りながら病状の観察や床ずれの手当てなどを行います。
※訪問看護は医療的なケアを行うものですが、65歳以上で要介護認定を受けている方が訪問看護サービスを利用する場合、公的医療保険ではなく公的介護保険で利用することとなります。
その他の在宅サービス
居宅介護支援
介護支援専門員(ケアマネージャー)が、本人や家族の希望を聞きながら状態に最も適した居宅サービス計画(ケアプラン)を作成します。
サービス利用に当たり、ケアマネさんが事業所や関係機関との調整なども行います。
特定施設入居者生活介護
入居している有料老人ホーム等からのサービスや、利用者側で選んだ外部からのホームヘルプサービス、デイサービスなどを受けられます。
※入居している建物内の事業所でサービスを受けると、サービス費用が90/100になるなど同一建物等減算(集合住宅減算)を受けられる場合があります。
福祉用具貸与
居宅での介護に必要な車椅子、車椅子付属品、歩行器、住宅改修を伴わない手すり、スロープ、歩行補助つえ、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排せつ処理装置など福祉用具の貸与を受けられます。
住宅改修費・福祉用具購入費の支給
住宅改修費の支給
要介護または要支援認定を受けた方が手すり取り付けなど小規模な住宅改修を行った場合、その費用の一部を介護保険から住宅改修費として給付(払い戻し)を受けることができます。
支給要件
- 要介護(要支援)認定を受けている方が居住する住宅(住民票のある所在地)であること
- 改修内容が支給対象となる内容であること
対象
手すりの取り付け、段差解消、滑り防止等の床材変更、扉の取替え、便器の取替え
利用限度額
- 要介護(要支援)者1人当たり20万円
- 20万円を超えた額は自己負担
- 転居した場合や要介護度が最初の住宅改修時より3段階以上上がった場合、改めて20万円までの住宅改修を行うことが可能
※改修する前に申請が必要です(詳しくは区役所保健福祉課給付事業係へ)
福祉用具購入費の支給
要介護または要支援の認定を受けた方がポータブルトイレなどの福祉用具を購入した場合、費用の一部として介護保険から福祉用具購入費として給付(払い戻し)を受けることができます。
支給要件
- 介護保険事業者として指定を受けた福祉用具販売事業者からの購入であること
- 要介護(要支援)者の日常生活の自立を助けるために必要な福祉用具であること
- 購入種目が支給対象であること
対象
腰掛便座、自動排せつ処理装置の交換部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動リフトの吊り具部分
利用限度額
- 同一年度当たり10万円
- 10万円を超えた額については全額自己負担
※指定事業者以外から購入した場合、福祉用具購入費は支給されません(詳しくは区役所保健福祉課給付事業係まで)
まとめ
介護保険制度は2000年にスタートしました。それ以前この訪問介護サービスは「老人福祉法」に規定され、市町村が実施する事業として制度化されたもので委託先も社会福祉協議会などに限られていた時代が長く続きました。
今や全国的に民間企業などの参入が認められ、厚生労働省の調査では民間企業の占める割合は65.5%となっており、サービスのあり方も柔軟かつ多様なかたちで提供されるようになってきています。
高齢者の方は、殆どの方が可能な限り最期まで自宅に住んでいたいと願っていることと思います。
利用できる介護サービスは可能な限り利用して、その願いを叶えてあげたいものです。
コメント